61:「会社へ」  6月9日  


古川君へ

FAX届きました。近頃仕事の方が気になっていたところでしたので順調に進んでいるようすで安心しました。又テレビの取材もよくわかりました。FAXの内容を見るとなかみが濃いようで帰ってから見るのを楽しみにしています。野林さんからのFAXも届きました。FAXを読んで私のいない所で頑張ってくれている事が感じられうれしく思いました。

ひとつ感じた事は現在、車が売れないので売り上げが伸びないという感じが伝わってきましたが、車がうれないというのはそれだけサービス部門も時間があるという事ですのでそれは私達にとってはチャンスだと考えた方がいいと思います。なぜなら各ディーラーとも売り上げに対する危機感を持っていることは事実であるし、その中で「今がチャンスです」という事が使えるわけです。

例えば、すでに導入を終わってるディーラーに対する売り上げを伸ばす方法としたら、2月、3月、4月と拡販された新車のリストによりそのユーザーの方へ「ペイントシーラントを使って頂いたお客様の声・・・タイトル「今やノーワックス」の時代を作り、ペイントシーラントの良さと新しいうちに加工すると良いとの情報を流す事をすすめるのも1つの方法ではないでしょうか。

これは原稿を作ってどこかひとつのディーラーが取りくめばすぐ他でもやってくれると思います。なにしろ、考え方の1番大事な事は、だめな時程チャンスだと考える事です。そうしないといつでもできない事のいい訳だけを考えるようになってしまいます。そしてもう1つは考えてやってみるのを楽しむことです。仕事はおわれるようになると苦しく成果もあがりません。先手を考え提案して結果を出す。これの繰り返しが自分に喜びを与え自信をつけてくるものだと言うことを考えてみて下さい。

カナディアンロッキービデオの蓮見さんや三浦さんも古川君の事をほめてました。よく気がきくし積極的だねと言ってました。私も古川君がほめられる事はうれしいです。なれない外国で10数回も飛行機ののりつぎをした事、柴田さんへの訪問等、いい経験になったのではないでしょうか。先日柴田さんと電話で話した所、古川君の訪問は楽しい時間をすごせたと言ってました。仕事の方古川君におまかせで申し訳ありませんが、肩の力を抜きなおかつ、鋭くトライしてみて下さい。それから野林さんに対しては、えんりょせずに意見を言ってお互いに良く理解していろいろやってみたらいいでしょう。

トヨタカローラ岩手は部長が前に茨城トヨペット(野林さん担当)に居た事もあるそうですので、今のタイミングをのがさないように野林さん1人で行ってもらったらいいと思います。前にも書きましたが、車の売れない今、拡販キャンペーン企画がほしいですね。シーガルフォーで十分試した事をいかして考えてみてください。封筒の外にお客様(ペイントシーラント)の声等を印刷をしたメール等もおもしろいではないでしょうか。今月中にしかけないとすぐお盆休みに入ってしまいます。今がチャンスですのでよろしくお願いします。

大場さんの状況は前回補給(6月5日AM8:40)後順調に歩いています。成功の確率は60%以上になってきたと思います。今後の補給の可能性は6月20日頃あるかもわかりません。次回(6月9日)の無線交信で相談しようと思ってます。前回補給時のレポートを別紙でFAXします。

今日タバコを買いにcoopへ行った折、郵便局へ寄って聞いたら荷物が届いてました。開けるのをワクワクしながらかついできました。こんなにワクワクしたのは久しぶりでした。開けてうれしくなりました。写真はさっそくテリーさんと見せたら彼女にとっても記念のフライトだったようで喜んでました。6月14日に蓮見さんに見せたらプレゼントする事を約束しました。

今日の夕食後はみんなで(といっても4人)ビデオを見る事にしました。楽しみです。本もこちらにある小説はほとんど見てしまった所でしたので、ゆっくり少しずつ読むつもりです。マンガも楽しみです。一気に読んでしまいそうなので一日一冊ぐらいずつにしようか今考えてます。新聞も助かります。

前回の無線交信時大場さんより「日本の新聞があったら補給の中に入れて下さい」との希望でしたがありませんでした。次回補給があったら届けたいとおもってます。タバコもありがとう。昨日はコープが休みでタバコをきらし、ガマンしてたらお客様にマイクと言う人が「よかったらどうぞ」と進めてくれたのをもらってすってた所でした。ここではタバコが1,000円近くするので大変だったので助かりました。それから雑誌も無事届きました。ガムテープの張りぐあいをみると全く開封されずにきたようです。ゆっくり楽しみましょう。

大場さんの日本事務局よりの情報をうまく流れているか心配ですか。その情報のききめがあったのか、ここ2週間位のうちにあらたに150万円以上の資金があつまりました。事務局を通じて来た情報それから直接FAXしたもの等時間がある時でいいのですので、コピーして名和君、ガソリンスタンド、自宅へやってください。又、ギャラリーいわきへFAXで流してもらえるとうれしいです。JON、土谷さん等他の所へは事務局より行くように手配してあります。


志賀さんへ

なれないコンピューター導入をした所に決算やらなにやら御迷惑をかけております。当初2週間の予定がこんなに居るようになるとは思いませんでした。飛行機のチケットも4回変更しました。他に変わりになるような人が見つからず、大場さんが終わる迄付き合う事に決めました。自分の持てる能力をすべてそそぎこんで悔いのないように支援していきたいと思います。こんな我ままが通るのも志賀さんがしっかりやってくれるからできる事と感謝しています。大場さんも目的地迄260km位の所を歩いてます。

1日15
km.歩けばあと17日位で長い長い旅も終わりそうです。早く日本に帰って仕事がしたいのが今の心境ですが、今は大場さんの補給を万全にする事を1番に考えたいと思っています。無理をしないようにもう少しだけ帰るのをお待ちください。ジャックアンドベティーについても帰ってたら整理をするつもりです。佐々木君、クリストファ等に店内の冷蔵庫、製水器等ほしい人がいないか機会があったら聞いてみて下さい。金額が合えば処分したいと思ってます。(大場さんのパーティーをもう一度やってみたい気持ちもあるのですが)6/11にはファックスのリボンが届き受信できるようになると思いますが、それ迄はテリーさんの方へお願いします。くれぐれも体に気をつけてやって下さい。

レゾリュート ベースキャンプ 志賀 


62:「新しい友人」  6月9日


私がレゾリュートの空港に着いた時、迎えに来てくれたのがピーターさんだった。背が高く、飾り気のない印象がした。それに余計な事を話しかけられないのにホッとした。英語の苦手な私にとっては、かろやかに話しかけられるのが一番困る。何を話したいかをお互いに認識しあった上で話を始めないと、お互いにくたびれる。そういう意味ではピーターさんは最高だった。

ピーターさんと話をしているのには、言葉が不自由と感じたことは全くないし、2人でよく笑った。ピーターさんは長いことテリーさんの手伝いをしていた。植村さんが北極点到達のときはいなかったが、泉雅子さん、風間さん等のサポートをしたと聞いた。

テリーさんのロッジ内は禁煙で、ガレージ側にある台所だけが喫煙の場所になっていた。そこに行くとほとんどピーターさんがいた。タバコを吸いたくなるタイミングというのは、一緒なのかもしれない。タバコを吸い始めると決まって「ピーター イズゼアー」とテリーさんに呼ばれ、しぶしぶ立って行った。テリーさんが呼ぶタイミングが実によく、一休みして一服が始まるとよばれるのだった。「どこかで見ているんだな」とよく冗談を言っていた。

ピーターさんは冬の間、ガレージ側に寝泊りし、6月になるとエドモントンの自分の家へ帰る。彼の家は広く、りんごの木やあんずの木等の果物がたくさんあるという。ピーターさんは独身だが、以前結婚していたことがあり、双子の女の子がいると聞いた。この話をしている時はちょっとさびしそうだった。

ピーターさんが元気に話してくれるのは、アウトドアの事だ。今までは大工の仕事(テリーさんのロッジも彼が作ったらしい)が主だったが、ガイドをやりたかったので、今年許可を取ったという。レゾリュートでイヌイット以外の人が商売を始めるには、レゾリュートのイヌイットの90%が推薦しなければ許可が取れず、難しいらしい。その許可が取れたので今年中に、装備(テント・寝袋・バーナー)を準備し、インターネットを使って北極点ツアー等を募集し、ガイドの仕事を来年の夏には始められるという。

白熊、あざらし、アンティクヘアー(うさぎ)等、野生の動物の話題になると生き生きと話し出す。テリーさんのロッジに飾ってある野生動物の写真は、ピーターさんが撮影したという。

大場さんの補給のために日本から補給物資をレゾリュートに持ってきてもらう時、「なにか欲しいものがあったら日本から持ってきてもらうように頼んであげるよ」とピーターさんに言うと、ピーターさんはカメラのレンズが欲しいという。ピーターさんは「自分は貧乏なので、あまりお金がないから安いのがあれば」ということだった。

東京の土谷さんにFAXをして調べてもらうと、ニコンのレンズ(新品78,000円 中古35,000円)があった。ピーターさんにこのことを話すと、軽い気持ちで話したことを私が確実にしてくれた事を大変喜んでくれているようだった。ピーターさんから「動きをよく確認して中古を頼んでほしい」と頼まれ、注文した。このレンズは、古川君が日本から持ってきてくれた。

ピーターさんには、大場さんの事で彼の仕事以上にたくさんお世話になり、又相談もしていたので「私からのプレゼントだよ」とピーターさんに渡した。ピーターさんは少年の目をして喜んでくれた。彼は彼の撮影した白熊の写真を送ってくれることを約束してくれた。

ピーターさんはいつも大場さんのポジションを気にかけてくれていて、2人で同じような話を何度も話した。私が補給を完全にやりたいんだと言うと、いろいろな事を助言してくれた。私たちの仲の良さと下手な英語が通じることについては、カナディアンロッキービデオ社の三浦さんがこう言った。「志賀さんの英語でピーターさんには100%問題なく伝わっているから安心してください。心配ないですよ。ピーターさんは志賀さんをできるだけ手助けするつもりですよ。」

大場さんからストックの補給要請があった時、イギリス人からピーターさんが貰ったストックを提供してくれた。ピーターさんが自分で使うために貰った物だが、大場さんのためにあげるという。うれしかった。

このストックはサイズが長かったので、道具を借り短く作り直したのだが、大場さんがうまく使えるかが心配だ。レゾリュートですぐにストックやスキーのシールなどを調達するのは至難の業である。それが欲しいものがスーと出てくるというのは、ほんとうに有難くうれしいものである。人が欲しいものを与えることができれば、逆のことがあるかもしれない。

ピーターさんは5月の末でエドモントンに帰ったが、私は時々大場さんの状況をピーターさんに電話で伝えている。今年の秋には、河野さんチームのサポーターだった大西君達とピーターさんを日本へ招待する計画を立てている。日本に呼んで温泉へつれて行き、日本の秋を見せてあげてたいと思っている。ピーターさんも「行けたらそれは楽しそうだ」と期待している。ピーターさんは私を助けてくれたサポーターの一人で大切な友達である。