57:「補給後の反省」  6月7日


65日に大場さんへの補給をしてから2日目になる。私がレゾリュートに来てすでに2ヶ月と2日が経つ。日本での仕事も気になるが、今は目の前にある大場さんへの補給に集中しようと考えている。これまで予測できる事、やれる事にベストを尽くしたいと思い、そのようにしたつもりだったが、今日大場さんの日記を読み返し、前回の補給にいくつかの間違いがあったことに気づいた。

それは、今回の補給品の中にカロリーメイトを40箱しか入れなかった事だった。私が読んだ大場さんの日記の中に、前回にもカロリーメイトが少ないと書いてあったのだ。大場さんが1日に必要としている量は、昼食として2000カロリー。カロリーメイトで1000カロリー取りたいと書いてある。カロリーメイトは14本入りで、400キロカロリーあるので、2.5箱×20日分なら最低50箱入れなければならなかったのだ。

大場さんに申し訳ない。夕べの9時に補給後の無線交信をする予定で、無線機のスイッチを入れ呼び出したが大場さんとは交信できなかった。新しいアルゴスの暗号情報を見ると、交信したいというメッセージは入っておらず、なおかつ衛星が電波をキャッチした時間が、レゾリュート時間で66日午後936分なので、遅くまで歩いて無線交信の必要なしと判断したものと解釈している。

次回、69日午後9時の交信に期待します。
次回の交信時に打ち合わせたい事は

1 無線交信するタイミング (1)何時か  (2)定期か 不定期か
2 補給したものに破損はないか(ストック・パドル・電池・空気入れ等)
3 次回補給は620日 北緯84度はどうか ドロップオフ(空中投下)
  が前提で良いか?

4 次回補給に用意できるもの 
    朝用ペミカン20日分以上 夜用ペミカン20日分以上
    昼用ペミカン(チョコレート・バター・ナッツベーコン)を作るように
    材料2週間分を注文しています。(蓮見さんに依頼)
    スキーのシール(注文済み)  ゴムボート・空気入れ(在庫中)
    燃料(在庫有り)


58:「レゾリュートで会った人々」  


ポーラフリーのメンバーが62日の夜中、レゾリュートに帰ってきて、私のところへ遊びに来てくれました。日本人の成田君と宮川君、2人とも好青年という感じでした。成田君は、前に大場さんに電話をして「あいさつに行きたい」と言ったら大場さんに「来なくていいよ」と言われたと話していました。彼は大場さんに会いたかったのだそうです。「言い方を間違えてしまったんです」とも言っていました。

私が大場さんの事や今回の補給の事などをいろいろ話すとすごく興味を持ち、話を聞いてくれました。大場さんに会いたいなと何度も言っていました。63日に、ファーストエアー社に預けておいた、自分達の昼用ペミカンを大場さんに使ってもらったらうれしいですと持って来てくれました。しかし暖かいところに置いてあったようで痛んでいましたので使えませんでした。私が「昼の行動食・チョコレート等が足りない」と言ったのを聞いて、是非使ってくださいとの気持ちはすごくうれしいものでした。

63日の晩、彼らのベースキャンプの電話が故障したので、ここの電話を貸してあげました。たくさんのマスコミ関係に報告を流すのに困っていたようです。64日に私がユーレイカに出発した後、大場さんと無線交信してくれたのが宮川君です。宮川君は66日、レゾリュートを発つ時に、「大場さんと交信できてうれしかった 北極点到達を喜んでもらえて感激しました」と私に言って帰りました。是非日本で会いたいそうです。

成田君が、63日・4日・5日と自分達が使った電話代をどう支払ったら良いか相談に来たので、テリーさんから請求が出たら振込みをしてもらえれば良いと話し、住所を聞いておきました。その時に、ホワイトガソリン30リッター・朝ペミカン27食分・夜ペミカン24食分・粉ミルク・エネルゲン等を「よかったら使ってください」と置いていきましたので、冷蔵庫に保管しました。話ができたのは2日間でしたが、話ができて「楽しかった」と私の書いていたレポートを欲しいと持って行きました。私も久しぶりに日本人と話せて補給の疲れも抜けました。

補給後、デジタルハウスの斉藤さんと話しました。次回補給の資金の件は大丈夫です。 アイタコウイチ様 10万円    タケイヒロユキ様 10万円の振込みがあったそうです。また別に、足利(レンタルハルス アシカガ)様からも電話があり、振込みをしてくれるという事を言われたそうです。私が現地情報をFAXで日本に送り、それを各スポンサーに送るのを日本事務局でしてくれています。

大場さんの北極での一歩一歩の行動とそれを確実に伝えてくれる日本事務局の積み重ねが、新しい資金を生み出しているようです。うれしい限りです。無理をするとけがをしたり、疲れて長続きしませんが、できる事を楽しんでやることが長続きし、大きな事・難しい事をやれる糸口になるものと実感しています。

それから大場さんと同じようにロシア側から出発したイギリス隊のスティーブとデーブがここに遊びに来ました。壁に貼ってある大場さんの歩いている地図を見て、いろいろと聞いてきました。私が下手な英語で、北極点付近で100キロメートル近く流された事や、ロシア側北緯8830分からカナダ側北緯88度まで380キロメートルをソリなしのバックパックだけで歩いたことを話すと、驚いていました。又熊に出会った事なども話してあげたら、彼らも熊と遭遇し銃で撃ったそうです。大場さんが熊避けスプレーでうまく撃退した事を話すと「俺たちは怖くてそうできない」と言っていました。

彼らは地図にこんなメッセージを書いてくれました。

  Mitsuro
       Your gourney is a fantastic atchievement.
       We arrived at the pole on fine and
       Watch your pegress in wondem
                    Best Wishe
                       Dave+Steve (Sndney Feb’97)

前に大場さんが言っていたように、ここテリーさんの所にはいろいろな国のEXPEDITION冒険チームやお客さんが来て面白いです。情報も品物も有り余るほどはないのですが、その分皆の気持ちがストレートになるようです。前に大場さんと無線で話したフランス人の写真家も飛行場で帰り際に何度も、大場さんが横断を成功できなくても必ず手紙をくれるように、人なつっこく言っていました。空手をやっているそうで良い体格をしておりました。

明日は気晴らしに近くの湖へ釣りに行ってみようと考えています。2mくらいの氷に穴を開けて釣ります。30cm位のアークティクチャーという魚が釣れます。日本の鮭と同じような味がして美味いです。テリーさんが今日、大場さんがレゾリュートに帰ってきた時のご飯の心配をしてくれました。テリーさんに頼まれて蓮見さんにキムチと米をFAXで頼みました。私はアークティクチャーを釣って塩びきを作ってみようと考えています。塩は蓮見さんに送ってもらった自然塩があります。大場さんと一緒に塩びきでご飯を食べるのを楽しみにしています。気持ちを安定させてチャンスを見極めて、できる事をやり抜いて下さい。レゾリュートもずっと白夜で暗くならず、夜が恋しくなってきています。

  北極海氷上の大場さんへ

             6月7日午後1140 レゾリュート志賀より