66:目標はワードハント島     6月18日

6月18日、大場さんはレゾリュート時間で、6月17日午後10時には北緯84度を越え、目的地のワードハント島迄、90数kmに迫った。その後、今日18日夜になっても大場さんの現在地を示すアルゴスのデーターが取れないのが気にかかる。18日にどの位の距離を歩いているのが分かると大場さんの到着日が予想出来るのだが、昨日までは1日20km以上歩いているので、そのペースで行けば4日後6月22日には到着する計算になる。

しかしながらワードハント島付近には乱氷があると言う。先ほど、以前にFAXで激励してくれたポーラフリーの成田君に電話をして聞いたところ、次のような事を教えてくれた。

目的地のワードハント島は、北緯835784′西経739505′に小屋があり、その付近にツィンオッター機は着陸するだろう。又、その島は富士山にやすりを掛けた様な型をしており、天気が良ければすでに大場さんの位置から見る事が出来、特徴のある形をしていると言う。

大場さんが歩くであろうこれからの道のりの氷の状態を聞くと、「 今の状態は分からないが自分達が出発した3月頃は、ワードハント島から15kmはゆるやかな登りの傾斜になっており、15kmから90km迄は、乱氷が有った。荷物が200kg以上もあったので、2往復しながら進んだ事も有り1日に2.4kmから 3.6km進のがやっとでした。」と話してくれ、「最後にワクワクします、頑張ってください」と励まされた。

大場さんの持っている今の荷は軽い。乱氷帯でも1日10km以上歩いて来るのでは無いかと考える。そうすると遅くとも26日までには、長かった今回の旅も終わりになる。

夢の実現迄もう一歩だ。

頑張れ大場さん !!

                           618PM12:00   レゾリュートBC  志賀

追伸
待ちに待ったアルゴスの最新情報が6月19日午前1時に蓮見さんのコンピューターに入ってきた。

大場さんの位置   6月18日 午後1015
    @    北緯83度784分   西経73度505分
         618日午前245分の位置、北緯83940  西経72801

       今日1日の歩いた距離
      83°940N 83°784N .156°
      1°= 約110km  .156°× 110km    17.16km

大場さんは6月18日約17km歩いたになる、予想を上回るスピードでした。

       この情報をもとに到着日を予想すると
  A     ワードハント島 (北緯83度096分)迄の距離は
       0.688°× 110km 75.68km
        1日17kmで進んだ場合、5日後の午後
      6月23日午後到着と計算されます。



67:大場さんの夢を見る     6月19日  

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6月19日午後、バンフに有る蓮見さんの会社よりアルゴスデターのFAXが入る。そこには 無線交信したし 」と言う大場さんからの暗号メッセージが入っていた。前回の交信時には、6月20日夜9時と約束していたのだが1日早い。ここ1週間以上の好調な歩みのため逆に心配になる。

前回交信時に話したビンディングが切れたのでは?それとも大きなリードが出てきたのでは?不安を持ちながらすごす時間は長い。昨夜 蓮見さんとピックアップ時に付いて打ち合わせ等で遅くまで起きていたため、夕食前に仮眠を取る。

インターホンのジョイさんの声で起こされる寸前 大場さんの夢を見る。大場さんは日に焼けた顔でテリーさんの家にいる 大場さんどうしたんですかまだ着いていないはずなのに…・・」私が聞くと大場さんが答える 志賀さん腹が減って補給に来た飛行機に乗ってきたんだ。今日 泊まっていったらまずいかな…・」 私は答えに困ってしまう。ここで目が覚めた。

こんな夢を見たためなお不安になる、そして夜9時交信を始めた。

午後9時1分前呼び出しを開始。数分呼びつずけるが応答無し。9時3分電波状態が良くなくだめかなとあきらめかけた時、大場さんの声が入る。あまり良く聞き取れない、早速質問に入る。

大場さん体調はどうですか、問題有りませんか?
問題有りません、元気です。」

氷の状態はどうですかボートを使うような大きなリードは有りませんか?
大きいリードは有りません……」

大場さんはこちらの受信状態が良くない事を知っており、同じ事を短く何度か言ってくれているので確認しやすい。

ワードハント島に近づくと乱氷が多くなると聞いていますがラフアイス、乱氷は有りませんか?
有りません、有りません、フラットです、フラットです。」

前回交信時 話しいてたビンディングのベルトは大丈夫ですか?
問題有りません、…・・」

食料、燃料は有りますか、補給の必要は有りませんか?
必要有りません、食料、燃料有ります 大丈夫です。ゴムボートが必要にならなければ 補給は必要ないです。」

    ゴムボートは前回補給時、空気を入れるポンプが投下の際、壊れたため
  にポンプと一緒に置いてきているので今は持っていない。

今日、ファーストエヤー社にピックアップの予約を623日にしてきましたが、623日でいいですか、それより前ですか、後ですか、日にちで言って下さい。

返事にしばらく間があり
622日、622日にして下さい。」

了解、了解しました、622日に変更します。

そこからワードハント島が見えますか、ワードハント島が見えますか、ワードハント島は特徴のある島で、

飛行機の着陸する場所の位置は  83°05.758′N   74°09.627W

です。了解ですか。私が何度か位置を繰り返すと大場さんはメモをしたようだった。

最後に今後の交信は毎日、夜9時にする事を確認しあった。
このころ ようやく私の不安は拭い去られ、「 明日の交信を楽しみにしています。くれぐれも油断をしないで歩いて下さい。」これで交信を終わった。

                         6月19日  リゾリュートにて   志賀


      

68:到着予定を6月23日に変更     6月21日

アルゴスデータはこちら

アルゴスデータで大場さんの歩いた跡を見ると、今最大の難関に当たっているのがわかる。620日午前中までは、ワードハント島に向け一目散というような感じであり、心配していた乱氷もなく、スムーズに距離を稼いでいた。

ところが、620日午前1050分からのアルゴスデータから、ほとんど南へ進まず、一時間ごとに見るデータの数字を図表にすると、西へ西へと動いている。10時間かかってようやく5km南下している。夜9時の無線交信で氷の状態を大場さんに聞くと次のような返事が返ってきた。

「午前中はよかったが、午後になったらリード(開表面)がメチャクチャ出てきて、右へ行っても左へ行っても廻りこめない。」

これを聞くと本当に大変なリードのようだ。補給の時、飛行機から見た網目のようにできたリードを思い出す。ワードハント島までの距離は40数kmと近づき、ピックアップのスケジュールも622日と予約をとっても、大場さんがいる状態は、陸から数百km離れたところにいるのと全く変わりがない。逆に危険は増すと考えたほうがよい。

621日 午後9時 無線交信

食料、燃料問題なし。風は強く、東よりの風。雲はあるが太陽が見える。
昨夜西へ動いているのは、眠らずに歩いたのか、風に流されたかが気になり、大場さんに尋ねたが、雑音により返事は聞き取れなかった。

622日に予約していたピックアップ予定を再度確認すると623日に変更してほしいという。氷の状態も昨日と同じでリードがたくさんあり、悪いとの返事だった。

しばらく続いている良い天気が変わらないうちに歩かなければならないが、危険も多い。その判断はすでにワードハント島まで20kmとなった今でも大変難しいのを感じる。私に出来ることは、大場さんが平常心でいられるようにサポートすることしかない。長くよい天気が続いたレゾリュートは夕方から風が強くなり、雪雲に変わってきた。



                     アルゴスデータ(大場さんの軌跡)